高齢になってから部分入れ歯を作る際に気をつけたい3つのポイント
「高齢になってから部分入れ歯を作ったけれど、うまく合わない」「痛くて食べられない」というご相談は、歯科医院に寄せられるお悩みのなかでもとくに多いものです。高齢者の部分入れ歯には、若い世代とは異なる注意点がいくつかあり、それを知らずに治療を進めてしまうと、せっかく作った義歯がうまく機能しないことがあります。
この記事では、伊丹市で義歯治療に取り組む伊丹とく歯科の院長・徳田 進之介が、高齢者が部分入れ歯を作る際に気をつけたい3つのポイントをわかりやすくお伝えします。保険適用の可否や治療の流れ、受診の目安についても詳しく解説していますので、ご自身やご家族の入れ歯でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。
高齢者の部分入れ歯が難しい理由とは?
部分入れ歯は、歯が一部なくなった場合に残っている歯に引っかけて使う義歯です。一見シンプルな装置に思えますが、高齢になるにつれて口の中の環境が大きく変化するため、若い頃に比べて「ぴったり合う入れ歯を作ること」がぐっと難しくなります。
年齢とともに変わる口腔環境
加齢にともない、歯ぐきや顎の骨(顎堤)は少しずつ吸収・退縮していきます。これは自然な生理現象ですが、歯ぐきの形が変わると入れ歯の「土台」が変化するため、以前に作った入れ歯が合わなくなったり、新しく作る際に精度を出しにくくなったりします。また、唾液の分泌が減って口の中が乾燥しやすくなること(口腔乾燥症・ドライマウス)も、入れ歯の吸着力や安定性に影響を与えます。
全身的な健康状態との関係
高齢になると、糖尿病・骨粗しょう症・高血圧などの全身疾患を抱えている方が増えます。また、抗凝固薬(血液をサラサラにするお薬)や骨粗しょう症の薬を服用している場合は、抜歯や外科的処置の際に特別な注意が必要です。さらに、認知症や筋力の低下により、入れ歯の着脱練習が難しくなるケースもあります。部分入れ歯を作る前には、必ず服用中のお薬や全身状態を歯科医師に伝えることが大切です。
骨粗しょう症治療薬(ビスフォスフォネート系など)を服用中の方は、抜歯後に顎骨壊死(がくこつえし)が起きるリスクがあるとされています。抜歯や外科処置の前には必ず主治医・歯科医師に相談してください。また、抗凝固薬服用中の方は出血が止まりにくい場合があるため、事前申告が欠かせません。
気をつけたい3つのポイント
高齢者が部分入れ歯を作る際には、特に意識しておきたい重要なポイントがあります。以下の3点を頭に入れておくと、治療をスムーズに進めやすくなり、完成後の満足度も高まります。
ポイント①:残っている歯の状態を徹底的に整えること
部分入れ歯は、残っている歯(残存歯)に金属のバネ(クラスプ)を引っかけることで固定します。このため、クラスプをかける歯の健康状態が入れ歯の安定性に直結します。歯周病が進んでいたり、虫歯が放置されていたりする状態で入れ歯を作ってしまうと、後から残存歯を失ってしまい、入れ歯を作り直す必要が生じる可能性があります。
部分入れ歯を作る前に、残っている歯の歯周病治療・虫歯治療を優先することが大切です。健康な残存歯があってこそ、長く使える入れ歯が完成します。伊丹とく歯科では、義歯製作の前に残存歯の状態を丁寧に評価し、必要な治療を先に行う方針をとっています。
また、高齢になると残っている歯の本数が少ない(1〜3本しかない)ケースも珍しくありません。残存歯が少ない場合、入れ歯の設計が複雑になり、クラスプをかける歯への負担も大きくなります。そのような難症例であっても、クラスプ歯の咬合(かみ合わせ)を細かく調整し、歯への過剰な力がかからないよう配慮することが求められます。
ポイント②:「噛み合わせの高さ」と「顎の位置」を正確に診断すること
高齢になるほど、長年の咀嚼(そしゃく)や歯の喪失によって噛み合わせが変化していることが多くなります。部分入れ歯を作る際に、この噛み合わせの高さ(咬合高径)や下顎の基準となる位置(中心位)を正確に診断せずに製作してしまうと、入れ歯が「高すぎる・低すぎる」「左右でバランスが違う」といった問題が生じやすくなります。
咬合高径がずれていると、顎や顔の筋肉に余計な緊張が生じて顎関節への負担が増したり、顔貌(かおかたち)が変わって見えたりすることもあります。また、発音にも影響が出る場合があります。
噛み合わせの診断は、顔の正面・横からの見た目(顔貌基準)や発音テスト、複数の計測方法を組み合わせて行うことが精度向上につながります。伊丹とく歯科では、咬合器を使った精密な診断と、ゴシックアーチ描記法など複数の手法を活用して噛み合わせを正確に記録しています。
さらに、高齢の患者さまのなかには顎位がそもそも不安定な状態になっているケースもあります。そのような場合には、まず「治療用義歯(トリートメントデンチャー)」を使って顎の位置を安定させてから本義歯を製作するという手順をとることもあります。治療のゴールと限界についても、最初の段階で歯科医師から丁寧な説明を受けることが大切です。
ポイント③:完成後の「調整・メインテナンス」を継続的に受けること
入れ歯は「作って終わり」ではありません。とくに高齢者の場合、顎の骨や歯ぐきの形が変化しやすいため、完成後の定期的なメインテナンスと調整が欠かせません。装着直後は痛みが出たり、ゆるく感じたりすることがありますが、これは正常な経過のひとつです。適切な調整を繰り返すことで、次第に自分の口に合った入れ歯に仕上がっていきます。
部分入れ歯の装着後は、通常3〜5回程度の調整が必要です。「少し痛い」「噛み合わせが気になる」という段階で遠慮なく相談することが、入れ歯を長持ちさせるコツです。また、数ヶ月〜半年に一度の定期検診で咬合チェック・適合チェックを受けることも重要です。
高齢になると顎の骨の吸収が進みやすく、数年で入れ歯の裏側と歯ぐきの間にすき間が生じることがあります。このような場合は「リライニング(裏打ち)」という処置を行って適合を回復させます。入れ歯の使用年数の目安や作り直しのタイミングについても、かかりつけの歯科医師に定期的に確認するようにしましょう。
入れ歯を外したまま長期間放置すると、残存歯が移動したり、歯ぐきの形が変わって再装着できなくなることがあります。また、夜間に入れ歯をずっと装着したままにしておくと、歯ぐきへの負担が増すことも。歯科医師の指示に従った保管・使用を心がけてください。入れ歯の保管は、乾燥を避け水中(または専用洗浄液)で行うのが基本です。
部分入れ歯の治療の流れ(初診〜完成まで)
「実際に何回通えばいいの?」という不安をお持ちの方も多いと思います。伊丹とく歯科における部分入れ歯治療のおおまかな流れをご紹介します。患者さまの口腔状態によって通院回数や期間は異なりますが、事前に見通しを説明するよう努めています。
お口全体の状態を詳しく検査します。顎堤の形・残存歯の状態・噛み合わせ・歯ぐきの状態・唾液の量など幅広く評価します。患者さまのご希望やお悩みをじっくりうかがい、治療のゴール・期間・費用の目安をご説明します。
入れ歯製作の前に、残っている歯の虫歯治療や歯周病治療を行います。この段階が入れ歯の寿命を左右する重要なステップです。
既製のトレーではなく、お口の形に合わせた「個人トレー」を製作し、精密な型取り(印象採得)を行います。機能印象(辺縁形成・筋圧形成)を実施し、精密印象材(シリコン等)を使用することで高い適合精度を目指します。
咬合床(バイトリム)を調整し、上下の顎の位置関係・噛み合わせの高さを正確に記録します。発音テストや複数の確認方法を組み合わせます。
完成前の蝋でできた試験的な義歯(蝋義歯)を実際にお口に入れて、見た目・噛み合わせ・発音を確認します。問題があればこの段階で修正できます。
完成した義歯を装着し、痛みや噛み合わせを精密に調整します。通常3〜5回の調整を行い、徐々に快適な状態に仕上げます。着脱方法・清掃方法・保管方法についても丁寧に指導します。
入れ歯の適合・咬合チェック、残存歯の状態確認、クリーニングを定期的に行います。必要に応じてリライニングや修理にも対応します。
治療期間は、前処置の内容によって大きく異なります。残存歯の状態が良好であれば比較的短期間で進められますが、歯周病治療や複数の虫歯治療が必要な場合は、その分の期間が追加されます。初診時に治療期間の目安をお伝えしますので、まずはお気軽にご相談ください。
費用・保険適用について
部分入れ歯には保険適用のものと自費(保険外)のものがあります。それぞれに特徴があり、どちらが適しているかはお口の状態やご希望によって異なります。伊丹とく歯科では、保険・自費の違いを誠実にご説明したうえで、患者さまの状況とご希望に合った選択肢をご提案しています。
保険適用の部分入れ歯
保険適用の部分入れ歯は、健康保険が適用されるため自己負担額を抑えられます(通常1〜3割負担)。使用できる材料や設計に一定の制限はありますが、基本的な機能を満たした義歯を製作することが可能です。高齢者の方で費用面が気になる場合でも、保険適用の入れ歯で十分に咀嚼機能を回復できるケースは多くあります。
自費(保険外)の部分入れ歯
自費の部分入れ歯では、金属床義歯・ノンクラスプデンチャー・シリコン裏装義歯など、保険では対応できない素材や設計を選べます。金属床義歯は薄くて丈夫で、熱の伝わりが良いため食事をより快適に楽しめます。ノンクラスプデンチャーは金属のバネを使わないため審美性が高く、目立ちにくいのが特徴です。ただし、適応症例や噛み合わせの状態によっては自費義歯が向かない場合もあるため、歯科医師とよく相談することが大切です。
自費診療は保険診療と混合して行うことができない場合があります(混合診療の禁止)。自費義歯を選択する場合、関連する処置が自費扱いになることがあります。費用の総額については初診時に見積書を発行してご説明しますので、ご不明な点は遠慮なくお申し付けください。
| 項目 | 料金(税込) |
|---|---|
| 部分入れ歯(自費) 片側 | 330,000円 |
| 部分入れ歯(自費) 両側 | 440,000円 |
※保険適用の部分入れ歯については、患者さまの保険負担割合(1〜3割)によって自己負担額が変わります。詳細は診察時にご確認ください。※上記は自費診療の料金目安です。前処置(虫歯・歯周病治療)の費用は別途となります。
| 比較項目 | 保険の部分入れ歯 | 自費の部分入れ歯 |
|---|---|---|
| 費用 | 保険適用(1〜3割負担) | 330,000〜440,000円(税込) |
| 素材・設計 | 保険内の材料・設計に限定 | 金属床・ノンクラスプ等を選択可 |
| 審美性 | 金属クラスプが目立つ場合がある | クラスプなし等、目立ちにくい |
| 装着感 | 標準的 | 薄く・軽く・フィット感が高い |
| 耐久性 | 定期的なメンテナンスが必要 | 素材により高い耐久性 |
※上記は一般的な比較です。適応は患者さまのお口の状態によって異なります。
こんな症状があったら早めに受診を
「どのタイミングで歯科に行けばいいの?」と迷っている方のために、受診の目安をまとめました。以下のような症状・状況に当てはまる場合は、早めにご相談されることをおすすめします。放置すると残存歯へのダメージが広がったり、全身の健康にも影響が出たりする可能性があります。
・歯が抜けて食事がしにくくなった、または食べられるものが偏ってきた
・現在使っている入れ歯が痛い・ゆるい・外れやすいと感じる
・入れ歯を長期間作り直していない(数年以上経過している)
・入れ歯をつけていると歯ぐきが痛い、または口内炎ができやすい
・残っている歯がぐらつく・歯ぐきから血が出るなど歯周病が心配
・「噛めない」ことで食欲が落ちた・体重が減ってきた
・入れ歯が割れた・バネが折れた・歯が取れた
咀嚼機能の低下は、栄養不足・認知機能の低下・誤嚥性肺炎のリスク上昇など、全身の健康に大きく影響します。「痛くなったら行く」のではなく、「定期的に診てもらう」習慣をつけることが、健康な口腔機能を長く保つ秘訣です。伊丹市にお住まいの方、または近隣にお住まいの方で入れ歯についてお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
伊丹とく歯科の部分入れ歯への取り組み
伊丹市の新伊丹駅から徒歩3分の場所にある伊丹とく歯科は、院長・徳田 進之介が2023年に開業した歯科医院です。院長は東京医科歯科大学を卒業後、16年以上にわたって一般歯科・小児歯科・義歯治療に携わってきました。神戸総合医療専門学校で「補綴学(ほてつがく)」の講師を務めるなど、義歯・入れ歯の専門知識と豊富な経験を持っています。
精密な診査・診断を大切にしています
伊丹とく歯科では、初診時に口腔内の包括的な診査を丁寧に実施しています。顎堤(歯槽骨)の形態・吸収状態、噛み合わせの高さ(咬合高径)、下顎の基準位置(中心位)、顎の動き、残存歯の状態、歯ぐきの状態、唾液の量、さらには嘔吐反射の有無まで幅広く評価します。既存の入れ歯をお使いの場合は、その問題点も合わせて確認します。難症例(顎堤吸収・顎位不安定・すれ違い咬合など)についても、豊富な経験をもとに対応しています。
丁寧な説明と透明性のある治療を心がけています
「難しいことはよくわからない」という方にも安心していただけるよう、専門用語をなるべく避けたわかりやすい言葉で説明することを大切にしています。治療のゴール・予想される限界・リスク・治療期間・費用の目安を事前にご説明し、見積書を発行するなど、透明性のある治療を心がけています。また、質問しやすい雰囲気づくりにも努めており、どんな小さなお悩みでも遠慮なくお話しください。
院長の徳田 進之介は、BPS認定歯科医師・日本顕微鏡歯科学会所属・第2種歯科感染管理者の資格を持つ歯科医師です。義歯関連の学会・勉強会にも定期的に参加し、最新の知識と技術のアップデートに努めています。伊丹市とその周辺地域の患者さまに、評判のよい丁寧な義歯治療を提供できるよう日々研鑽を積んでいます。
「保険でも自費でも、患者さまにとって本当に合う入れ歯を作りたい」という思いで、一人ひとりの口腔状態に合った義歯の設計方針・素材・製作方法を選択しています。入れ歯でお悩みの方はもちろん、「自分に合った入れ歯かどうか確認したい」という方も、お気軽にご予約・ご相談ください。
- 医院名
- 伊丹とく歯科
- 所在地
- 兵庫県伊丹市平松4丁目3-12
- 電話番号
- 050-3146-4274
- 診療時間
- 火〜土:08:30〜12:30 / 13:30〜17:30(土曜は16:00まで)
※月・日曜・祝日は休診 - アクセス
- 新伊丹駅から徒歩3分
- 公式サイト
- https://toku-shika.com/
よくあるご質問(FAQ)
部分入れ歯についてよく寄せられるご質問をまとめました。ここで解決しないお悩みは、ぜひ直接ご相談ください。
- 氏名
- 徳田 進之介(歯科医師・院長)
- 専門分野
- 一般歯科・小児歯科・義歯(入れ歯)・顕微鏡歯科
- 経歴
- 2009年3月 東京医科歯科大学卒業。小児歯科を含む一般歯科にて勤務・研鑽。2015年〜 PDインストラクターとして研修医にミラーテクニックを指導。2015年・2016年 日本顕微鏡歯科学会にて一般口演。2022年〜 神戸総合医療専門学校にて「補綴学」講師。2023年1月 伊丹とく歯科を開業。
- 所属
- 日本顕微鏡歯科学会/第2種歯科感染管理者/BPS認定歯科医師/日本睡眠歯科学会/HDA(ハイライフデンチャーアカデミー)認定医


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