放っておくと怖いむし歯の進行と、痛みのメカニズム・早期発見のすすめ
デザートやお菓子など、私たちの生活に彩りを与える「甘さ」。しかしその裏側には、歯を蝕むむし歯が潜んでいます。
このコラムでは全4回にわたり、むし歯の発生に深く関わる「砂糖」に焦点を当て、そのメカニズムを詳しく解説しました。最終の第4部ではむし歯全体について解説します。
甘いものを楽しみながら、生涯健康な歯を守るために。このコラムがその一助となれば幸いです。
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皆様は、歯が痛くなってから歯科医院を受診されることが多いのではないでしょうか?
「いつ歯医者さんに行きますか?」と質問すると、多くの方が「歯が痛くなった時」と答えられます。もちろん、痛いのはつらいですし、早く治したいというお気持ちは非常によく分かります。しかし、実はこの「痛くなってから行く」という行動、むし歯治療においてはあまり推奨されない理由があります。それは、「痛みが出る頃には、むし歯がかなり進行している可能性が高い」からです。
むし歯がどのように進行し、なぜ痛みを伴うようになるのかを理解するために、まずは歯の基本的な構造と、むし歯の進行段階を見てみましょう。
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Contents
歯の基本的な構造と、むし歯ができると痛くなるメカニズム
私たちの歯は、主に3つの層でできています。
- ・エナメル質: 歯の一番外側を覆う、人体で最も硬い組織です。この層には神経がありません。
- ・象牙質: エナメル質の内側にある、エナメル質より少し柔らかい組織です。象牙質の中には、歯の中心に向かって無数の細い管(象牙細管)が走っています。
- ・歯髄(しずい): 歯の中心部にある軟らかい組織で、神経や血管が通っています。一般的に「歯の神経」と呼ばれる部分です。
むし歯は、この硬いエナメル質から溶け始め、徐々に歯の内部へと進行していきます。進行の段階によって、痛みの感じ方が異なります。
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痛みが強いむし歯は、かなり進行しているサインです
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このように、むし歯が深くなればなるほど、痛みが強く、持続的になっていきます。特に、ズキズキとした強い痛みを感じるようになった場合は、むし歯がすでに歯髄まで達している可能性が高く、かなり進行しているサインと言えます。むし歯は進行すればするほど、治療に時間や費用がかかり、歯へのダメージも大きくなってしまいます。
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ただし、痛みの感じ方には個人差があることも。同じようなむし歯の進行度でも、あまり痛みを感じないという方もいらっしゃいます。たとえあまり痛みを感じていなくても、むし歯が中で着実に進行していることも少なくありません。
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痛みがなくても歯医者さんへ!
「痛みを感じたら歯医者さんに行く」と思っていませんか?実は、痛みが出る前の段階で、あるいは痛みが出る前の定期的な受診がとても大切なんです。
定期的に歯科検診を受けることで、まだ痛みのない初期のむし歯や、自分では気づけない小さな変化も早期に発見できます。
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早期発見にはこんなメリットがあります。
- ・簡単な治療で済む可能性が高まります。
- ・歯を削る必要なく、むし歯の進行を止められる可能性が高まります。
さらに、むし歯になる前の予防ケアについても、歯科医師や歯科衛生士からアドバイスを受けることができます。
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お子様のむし歯には特に注意!
特に注意していただきたいのが、むし歯の進行の速さです。そして、お子様の歯は大人に比べてエナメル質や象牙質が薄く、柔らかいため、むし歯ができるとあっという間に進行してしまう傾向があります。
だからこそ、お子様こそ痛くなる前に定期的に歯科医院を受診し、早期発見・早期治療、そして予防にしっかり取り組みましょう。
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早期発見・早期治療が何より大切
残念ながら、むし歯は一度できてしまうと、自然に治ることはほとんどありません。
特に、歯に穴があいてしまったむし歯が自然にふさがることはないのです。
むし歯が最も外側のエナメル質だけにとどまっている初期段階であれば、
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- ・痛みを伴わないことが多い
- ・適切なケアで進行を遅らせる
- ・条件によっては再石灰化を促す
ことができる可能性もあります。
しかし、むし歯が内側の象牙質に達すると、
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- ・冷たいものなどでしみたりといった痛みを感じることが増えます。
- ・象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、進行が非常に速くなります。
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さらに進行し、歯の神経である歯髄にまで達してしまうと、ズキズキとした強い痛みを感じるようになります。
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手遅れになる前に:定期検診で守る歯の健康
痛みが強くなってから、「これはまずい!」
そう思って歯科医院を受診する方は少なくありません。
しかし、強い痛みが出ているということは、むし歯がかなり進行してしまっているサインなのです。
進行したむし歯の治療は、初期段階に比べて
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- ・歯を削る範囲が大きくなる
- ・神経の処置が必要になる
と、治療が大掛かりになりやすく、時間も費用もかかります。また、歯への負担も大きくなります。
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歯を守る上で最も大切なのは、むし歯が小さいうちに、痛みのない段階で発見し、治療することです。早期に発見できれば、簡単な処置で済むことが多く、歯へのダメージも最小限に抑えられます。
そのためには、「痛くなってから」ではなく、定期的に歯科医院で検診を受けることが非常に重要です。
歯科医師や歯科衛生士は、むし歯の兆候を早期に見つけるプロです。まだ自分では気づかない小さな変化も見逃さずに発見し、適切なアドバイスや治療を行うことができます。
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まとめ
多くの方が、歯が痛くなってから初めて歯科医院に行かれます。しかし、この記事で見てきたように、むし歯の痛みは、病気がすでに歯の奥深くまで進行してしまっている危険なサインであることが多いのです。特に象牙質に達したむし歯は進行が速まります。
痛くないから大丈夫、と油断している間にも、むし歯は静かに進行している可能性があります。大切な歯を失わないために、そして治療の負担を軽くするためにも、最も効果的なのはむし歯の早期発見・早期治療です。
その鍵となるのが、痛みの有無にかかわらず、定期的に歯科検診を受ける習慣です。未来の自分の歯を守るために、今日から「痛くなる前に歯医者さんへ行く」ことを始めてみませんか。
伊丹とく歯科では、お子様が安心して通えるようなキッズスペースも完備しており、ご兄弟での通院も可能です。ぜひ、ご家族皆様で定期検診にお越しいただき、むし歯を痛くなる前に発見・治療し、健康な歯を保ちましょう。
ページ監修医師
徳田進之介
兵庫県伊丹市・新伊丹駅から徒歩3分の「伊丹とく歯科」院長。
患者様一人ひとりに寄り添い、納得いただけるまで丁寧に説明し、高品質な治療を提供することを大切にしています。
特に 「しっかり噛める」「長く快適に使える」 義歯治療や、見た目の美しさと機能を両立した審美歯科 に力を入れています。既製品では満足できない方、ワンランク上の精密な治療を求める方に、最適な選択肢をご提案いたします。
「本当に自分に合う治療を受けたい」
そんな方のための歯科医院を目指しています。
医院情報
伊丹とく歯科
兵庫県伊丹市平松4丁目3-12
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https://toku-shika.com/