デジタルでここまで進化!デジタルデンチャーの治療の流れ
こんにちは。伊丹とく歯科院長の徳田です。
伊丹とく歯科では入れ歯の新たな選択肢として、「デジタルデンチャー」を導入いたしました。そこで、本コラムでは3回にわたり、デジタルデンチャーについて特集しています。
前回はデジタルデンチャーの基礎知識として、特徴やメリットについて解説しました。
★前回のコラムはこちら↓
第2回となる今回は、デジタルデンチャーの作製工程(治療の流れ)や、使用される最新技術についてご紹介したいと思います。
デジタルデンチャーに使われる4つの技術
デジタルデンチャーの作製には、以下にご紹介する4つのデジタル技術が活用されています。それぞれの技術について、わかりやすく解説しましょう。
①3Dスキャナー
歯型を採得した印象をそのままデジタルデータとして取り込む装置です。スマートフォンで写真を撮るような感覚で、印象した歯型の形状を正確にコンピュータに取り込むことができます。
従来の方法では歯型から石こう模型を作る工程が必要でしたが、スキャナーを使用すると石こう模型を作製する必要がないため治療期間が短縮できるほか、作製における誤差を最小限に抑えることができます。これにより、より精密な入れ歯の設計が可能になりました。
②CADソフト
CADとは「Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)」の略称です。スキャナーで取り込んだ印象データをもとに、コンピュータ上で精密な歯型を再現し、入れ歯の設計を行います。従来は歯科技工士が手作業で行っていた入れ歯のデザインを、画面上で0.1ミリ単位の精度で調整しながら進めることができます。
手作業では難しかった精密な調整ができるため、患者さんのお口に最も合った入れ歯を設計することが可能です。さらに、デザインデータはそのまま保存できるため、万が一の破損時にも同じ形の入れ歯を作ることができます。
③歯科用3Dプリンター
歯科用3Ⅾプリンターは、おもちゃやアクセサリーを作る一般的な3Dプリンターよりもさらに精密な制御ができる機械です。コンピュータで設計した入れ歯のデータをもとに、専用の材料から実際の入れ歯を作っていきます。
従来は歯科技工士が手作業で行っていた工程を、短時間かつミリ単位の精度で作り上げることができます。また、一度作ったデータがあれば、同じ品質の入れ歯を何度でも作れるのもメリットです。
④ミリングマシン
ミリングマシンは、CADソフトで設計された入れ歯のデータをもとに、実際の入れ歯を削りだす機器です。
3Dプリンターが材料を積み重ねて形を整えるのに対し、ミリングマシンは円盤状の材料から余分な部分を削り取って入れ歯の形を作り出していきます。また、強度の高い材料が使用できるため、より精密で丈夫な入れ歯を作製できるのも特徴です。
デジタルデンチャーの治療の流れ
従来の入れ歯とデジタルデンチャーでは、上の表のように作製工程に大きな違いがあります。
従来の入れ歯製作では、歯科医師が採った歯型に石こうを流して模型を作り、その模型をもとに歯科技工士が丁寧に入れ歯を作製していきます。熟練した技術による細やかな調整が可能な一方で、ひとつひとつの工程に時間がかかるため、完成までに期間がかかってしまいます。また、何度も来院していただく必要があるのも、患者さんにとっては大きな負担です。
一方のデジタルデンチャーでは歯型をスキャンしてコンピュータに保存し、そのデジタルデータをもとに画面上で入れ歯の設計を行います。その設計をベースに機械が入れ歯を作製するため、手間がかからず、よりスピーディーかつ精密に入れ歯を作ることが可能です。また、来院回数も少なく済むので、患者さんの負担を減らすことができます。
さらなる進化を目指して
現在、伊丹とく歯科では3Dスキャナーを導入し、デジタルデンチャーの提供を開始しております。将来的には、3Dプリンターなども導入することで、作製の全工程を院内で行えるようにしたいと考えています。
そうなれば、技工所を併設していない当院のような小さな歯科医院でも、質の良い入れ歯を短期間で作れるようになります。患者さんの待ち時間を大幅に短縮し、より快適な治療を提供できる日もそう遠くはないでしょう。
次回は、デジタルデンチャーの費用や期間、適応について詳しく解説いたします。デジタルデンチャーによくある疑問にお答えする形で、より具体的な情報をお届けいたしますので、ぜひそちらも参考にしてください。