根管治療の質を左右する? 保険治療の限界と自費治療のメリット
- 2024年5月25日
- 根管治療
こんにちは。伊丹市の歯医者、伊丹とく歯科院長の徳田です。
伊丹市伊丹とく歯科では、これまで保険を中心とした根管治療を皆さまにご提供してまいりました。しかし、保険治療では十分に満足のいく治療ができないケースも多く、治療後しばらくして再治療になったり、抜歯に至ってしまったりするケースも少なくありません。
そのため、伊丹とく歯科ではより精密で質の高い根管治療をご提供するために、自費の根管治療を新たに導入することにしました。とはいえ、同じ根管治療でも「保険」と「自費」があることに戸惑いを感じる方も多いと思います。
そこで本日から3回にわたり、当院が自費の根管治療を導入するに至った経緯やそのメリット、伊丹市伊丹とく歯科の自費根管治療の特徴などご紹介します。
第1回目となる本コラムでは、国内における根管治療の現状や海外との比較、自費根管治療のメリットについて詳しく解説していきましょう。
根管治療とは?
根管治療は専門的に「歯内療法」と呼ばれ、文字通り歯の内部(歯髄・根管)を対象に行う治療の総称です。一般に「歯の神経の治療」「歯の根っこの治療」と言われているものがこれにあたります。
★根管治療をさらに詳しく↓
日本における根管治療の現状
保険治療の「逆ザヤ問題」:時間と手間に見合わない診療報酬
日本の歯科医療は「国民皆保険」の制度により、全国どこでも比較的安い価格で治療が受けられます。その一方で、根管治療は保険点数が非常に低く、治療内容に見合った適正な点数が付与されていないのが実状です。海外の先進諸国と比較してもその費用は格段に安く、時間と手間に見合わない報酬と言わざるをえません。
この価格設定によって日本では根管治療に十分な時間を費やし、高品質な材料を使って丁寧に行おうとすると赤字になる、いわゆる「逆ザヤ」の状態が発生してしまいます。
そのため、多くの歯科医院では質の高い根管治療の実施が難しく、結果として予後不良となってしまうケースも少なくありません。
高品質な材料や機材の使用が限られる
根管治療で良好な予後を得るためには「ラバーダム」「マイクロスコープ」「隔壁」などの使用が必須です。これらの機材や材料は保険でも使用可能ですが、日本では保険点数の低さから現実的にみて「使いたくても使えない」という状況下にあります。
一方で、こうした先進機材や材料を使わないと治療の質を担保できないのも事実で、多くの歯科医院がこのようなジレンマに直面しています。
★「やり直し・再治療のない根管治療(精密根管治療)」をさらに詳しく↓
技術の習得に「時間」と「お金」がかけられない
高品質な材料・機材を導入しても、それらを使いこなす歯科医師の技術がなければ良質な治療は提供できません。例えば、マイクロスコープを使いこなせるようになるためには、専門のセミナーを受講し、一定の費用と時間をかけて技術を習得する必要があります。
しかし、現在の保険診療の報酬では、歯科医師の技術研鑽のための投資を行うことが極めて難しい状況となっています。
日本と海外の根管治療の比較
<費用に反映された質の高い治療>
欧米の根管治療は「自費治療」が主流
アメリカやイギリスなどの欧米諸国では、根管治療を自費で提供するのが一般的です。上記のグラフからもわかるように、日本の保険診療における根管治療の費用は6千円前後であるのに対し、アメリカやイギリスでは約10万円前後となっています。
この金額の違いが物語るように、欧米では根管治療にそれなりの費用をかけることが当たり前であり、質の高い治療に見合った適正な費用が設定されています。
技術力の高い歯科医師による治療
欧米では高品質の材料と先進の機材の使用が当然のこととされ、それに見合った価格設定がなされています。そのため、歯科医師への高度な技術研鑽も十分に行われ、患者さんに提供される根管治療の質は非常に高くなっています。
一方の日本では、保険診療のしがらみから、同様の水準の治療を提供することが非常に困難な状況です。そのため、より質の高い根管治療を望む場合には、自費治療を選択する必要があります。
根管治療における自費治療の価値
<長期的なメリットを見極める>
- ・治療のやり直し(再治療)のリスクが軽減できる
- ・治療期間が短縮できる
- ・抜歯を回避できる
自費根管治療は初期費用が高くなるものの、長期的な視点で見るとメリットが大きいと言えます。なぜなら、高品質な材料・機材を使用し、高度な技術を持つ歯科医師による治療を受けることで予後が向上し、再治療のリスクが減るからです。
さらに患者さんのメリットとして、治療回数が少なくなることで通院回数や時間など、治療にともなうトータルコストが削減できる点も挙げられます。自費根管治療は1回の治療時間が長く(60分~120分)なりますが、早いケースだとその日のうちに治療を終わらせることが可能です。これにより患者さんの時間的な負担が軽減できるほか、再感染のリスクが減らせるというメリットがあります。
くわえて、通常では残すのが難しい歯でも、自費の根管治療によって抜歯を回避できる可能性が高くなる場合があります。このようなシビアなケースに対応できるのも、自費根管治療の大きな価値といえるでしょう。
まとめ
根管治療は「歯を守る最後の砦」ともいえる重要な治療です。しかし日本の保険制度では、質の高い根管治療を提供するのが難しい状況が生じています。
自費の根管治療では、十分な時間と高品質な材料・機材を使った治療が可能になり、再感染リスクの低減や抜歯回避といった大きなメリットをもたらします。
伊丹市伊丹とく歯科では、患者様お一人おひとりのニーズに合わせた最適な根管治療プランをご提案しています。根管治療についてご不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。