【自費根管治療】精密な治療を実現するために必要な3つの要素(設備・技術・時間)
- 2024年6月17日
- 根管治療
こんにちは。伊丹市伊丹とく歯科院長の徳田です。
今回も前回に引き続き、自費の根管治療についてのお話しです。前回のコラムでもお伝えしたように、伊丹とく歯科ではより精密で質の高い根管治療を実現するために、新たに自費の根管治療を導入することにしました。
★前回のコラムはこちら↓
自費根管治療には、精密な治療によって治療後の再発率を低減できるほか、従来では保存が難しい歯でも抜歯を回避できる可能性が高まるという大きなメリットがあります。その一方で、「費用が高い」「治療時間が長い」という点に疑問を感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、自費治療で費用や時間がかかる理由として、精密根管治療に欠かせない「設備」「技術」「時間」の3つの要素について詳しく解説していきたいと思います。
設備の充実:
精密な根管治療に不可欠な機材
根管治療の精度を上げ、成功率を高めるうえでは、以下にご紹介する機材が必須です。
一方で、これらの機材の投資には莫大な費用がかかり、それが自費治療の費用が高くなる要因の1つになっています。
マイクロスコープ:肉眼では見えない細部を拡大
マイクロスコープは、肉眼では見えない細かい部分を拡大し、観察できる医療用顕微鏡です。精密な根管治療においては、内部の状態や感染部位を正確に把握するために、このマイクロスコープが不可欠となります。
従来の根管治療では肉眼やルーペを用いた治療を行っていましたが、マイクロスコープの導入により、さらに精密な治療が可能となりました。
★マイクロスコープをさらに詳しく↓
歯科用CT:精密な診断と安全な治療
歯科用CTは立体画像で歯や骨の状態を詳細に把握できる検査機器です。根管の形態や内部の状態を正確にとらえることで、安全で確実な治療を実現します。
従来のレントゲンは2次元での情報しか得られないため、複雑な根管の形状を把握することが難しく、根管に感染源を取り残してしまうケースも少なくありません。しかし、歯科用CTを使用することで、このような取り残しや根管の小さなヒビ・割れなどを見逃すリスクも軽減できます。
★歯科用CTをさらに詳しく↓
ニッケルチタンファイル:効率的で安全な根管形成
根管治療では「ファイル」と呼ばれる細い針のような器具を使って根管内の清掃・拡大を行います。かつてはステンレス製のファイルが主流でしたが、ニッケルチタンファイルはステンレスファイルよりも柔軟性や強度に優れているのが特徴です。
従来のステンレスファイルは折れやすいという欠点があり、途中でファイルが折れてしまい、治療を一時中断せざるをえないケースも少なくありません。
しかし、ニッケルチタンファイルは柔軟性と強度が高いため、複雑な形状の根管でも効率よく、安全に治療を進めることができます。
ラバーダム:治療中の感染リスクを軽減
ラバーダムは、治療中に唾液や細菌が根管内に入りこむのを防ぐゴム製のシートです。これにより、治療中の感染リスクを大幅に低減し、安全な治療を実現します。根管治療における「無菌的処置の原則」を徹底するうえで、このラバーダムは不可欠です。
★根管治療の「無菌的処置の原則」「ラバーダム」をさらに詳しく↓
技術の研鑽:
歯科医師のスキルアップ
以上にご紹介した設備が充実しても、それを使いこなす歯科医師の技術がなければ精密で確実な治療は実現できません。
これらの機材を使いこなせるようになるためには、歯科医師にも一定のトレーニングが必要です。その技術研鑽(スキルアップ)にかかるコストも、自費治療の費用が高くなる要因の1つとなっています。
マイクロスコープ下による根管治療のトレーニング
マイクロスコープを使った根管治療には、専門的な知識と技術が必要となります。その知識や技術の研鑽のために、歯科医師は数々のセミナーを受講してスキルアップするのが一般的です。
一方で、マイクロスコープを使えるようになるセミナーは1日あたり10万円前後、2日で20万円前後の費用がかかります。くわえて、マイクロスコープ下による根管治療(マイクロエンド)も学ぶ必要があり、これらをトータルにするとセミナー代だけで100万円前後の費用が必要となります。
このようなスキルアップにかかるコストも、治療費に影響を与える要因の1つです。
新しい知識や技術の習得
歯科医療は日進月歩であるため、歯科医師は常に最新の知識や技術を習得することも欠かせません。上記のセミナーのほかにも、学会や最新の知見を学ぶセミナー、書籍等でアップデートを続けています。
こうした日々の努力と投資が合ってこそ、高品質な治療が実現できるのです。
十分な時間の確保:
丁寧な治療には時間がかかる
精密な根管治療を行うためには、十分な時間を確保する必要があります。このような事情も、保険治療とは別に自費治療を導入する理由の1つとなっています。
1回の治療時間を90分~120分に設定
伊丹市伊丹とく歯科の自費根管治療では、1回の治療時間に90分~120分ほど設けています。この治療時間には実際に治療をする時間のほかに、診療室への患者さんの導入やラバーダムの装着、マイクロスコープのセッティングなどの時間も含まれています。
治療時間が長い分、通院回数は少ない(治療期間の短縮)
自費の根管治療は1回の治療時間が長くなる一方で、保険治療と比べて通院回数が少なく、治療期間を大幅に短縮できるのが特長です。
当院における奥歯(大臼歯)の根管治療を例に挙げると、保険治療の場合、1回の予約時間が約30分、通院回数は5~6回で、治療が終わるまでに2~3か月ほどかかってしまいます。
これに対して、自費の根管治療は通院回数が1~2回、期間にして約1~2週間で治療が終了します。
つまり、トータルで考えると治療時間は両者でそれほど大きな差はなく、治療期間という点では自費治療のほうが短くすむわけです。
さらに、根管治療は回数を重ねるごとに感染のリスクが高まるため、回数を少なくすることで感染による予後不良を防ぐというメリットもあります。
まとめ
以上にご紹介したように、自費根管治療は設備投資と歯科医師のスキルアップにも一定のコストがかかり、これにより保険治療と比べて治療費も高くなります。さらに、機材の準備や丁寧な治療を行ううえでは、それなりの治療時間が必要であることも、ぜひ皆さんにご理解いただきたいと思います。
「費用が高い」「治療時間が長い」というのは患者さんにとってデメリットに感じてしまいますが、自費根管治療はその効果や予後を含め、トータルで考えるとメリットが勝る治療であることは間違いありません。
通常の根管治療で「なかなか治らない」「治療を何度も繰り返している」とお悩みの方は、ぜひ自費の根管治療をご検討のうえ、伊丹市伊丹とく歯科までお気軽にご相談ください。